自動車の運転中、自転車や歩行者と接触事故を起こしてしまった際、加害者がそのまま逃げずに相手の状況を確認
その後、相手が「大丈夫」と言ったためその場を立ち去った場合でも「ひき逃げ」が適用されます
神奈川県議がひき逃げ疑い 自転車の男子高校生けが
自民党の杉山信雄神奈川県議(60)が乗用車で、自転車の男子高校生(15)と接触事故を起こし、そのまま立ち去った疑いがあることが15日、県警中原署への取材で分かった。署は自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで調べている。
署によると、杉山県議は12日午前8時すぎ、川崎市中原区の信号のない交差点で、左から進行してきた自転車と出合い頭に接触。転倒した男子生徒に軽傷を負わせたが、その場から立ち去った疑いが持たれている。
この事件では杉山信雄神奈川県議は自転車との接触時、車を停止して男子生徒に「大丈夫ですか?」と声をかけ「大丈夫」と答え
さらに県議の「救急車を呼びましょうか」との問いにも「大丈夫」と答えています
転倒した男子生徒はケガをしていないように見えたか、もしくはかなりの軽症だったのでしょう
県議は「自転車の修理費」として1万円を渡しその場を立ち去ったということです
目撃者からの通報か被害者からの届け出かは分かっていませんが、結果杉山信雄神奈川県議は「ひき逃げ」の疑いをもたれています
ちなみにひき逃げの「逃げ」とはその場から逃走したという意味ではなく、停車して相手の様子を見たりしても「救護措置」や「警察への通報」をしていない場合を指します
このような軽い接触事故は日常よくあることだと思いますが、事故当時に相手と和解していて相手にもほぼケガがないように見えても「ひき逃げ」となる事は知っておくべきですね
ひき逃げとは?法律上での「ひき逃げ」
ひき逃げ、轢き逃げ(ひきにげ)とは、車両等の運行中に人身事故(人の死傷を伴う交通事故)があった際に、道路交通法第72条に定められた必要な措置を講ずることなく、事故現場から逃走する犯罪行為を指す。
第72条第1項前段では、「交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員 (中略) は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」と規定されている。
なお言葉としては「〜逃げ」となっているが、法律の条文上は「逃げる」事は構成要件には含まれない。すなわち、事故の当事者が運転を直ちに停止しないか、または救護義務、危険防止措置義務を怠ることで、犯罪が成立する。
先の事件の場合、容疑が自動車運転処罰法違反(過失傷害)となっているので男子生徒は少なくともケガをしていたのでしょう
そのケガに対して救護義務をしなかった為に救護義務違反ということですね
さらに交通事故の際には警察官への報告義務もあります
これも道路交通法第72条に定められた「必要な措置」です
これら犯罪の主体は、「車両等の運転者その他の乗務員」であり自動車、原付き、バイク、さらには自転車の運転者も罪に問われます
ひき逃げの罰則
ひき逃げ
自動車、原動機付自転車、トロリーバスまたは路面電車の運転者が、人身事故に係る救護義務・危険防止措置義務に違反した場合には、道路交通法第117条第1項により、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される。なお、同条第2項により、人身事故が「人の死傷が当該運転者の運転に起因する」ものである場合に、救護義務・危険防止措置義務に違反した場合は、罰則は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となる。
なお、運転者以外の「その他の乗務員」(前述参照)が犯した場合には、同法第117条の5第1項により1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処される。
wikipedia
「人の死傷が当該運転者の運転に起因する」とは速度超過や信号無視なと危険運転行為によるものです
ひき逃げについての相談
弁護士ドットコムでは以下のような相談について弁護士が答えています
[相談者]
先日車を運転中に自転車と出会い頭の衝突という事故をおこしました。
ぶつかって直ぐに自転車に乗っていた方に近づいて大丈夫ですかと聞き大丈夫ですというこたえをいただいたのでその場から立ち去りました。
そして翌朝携帯電話をみたら夜中に警察から電話があったことに気づきすぐに警察に電話して出頭して下さいといわれ出頭しました。
そして警察で相手のことを聞き連絡し訪問し謝ってきました。
相手は鎖骨を骨折したそうです。翌日も相手方に連絡し手みやげを持参しもう一度謝罪してきました。
その後事故の現場検証、調書とやり4ヶ月後位に検事さんから呼び出しがあると思いますと言われました。。
相手の方は重い処分を望まないと言っていると警察の方からお聞きしました。これはひき逃げ扱いになるのでしょうか?
[弁護士]
最高裁判例があり、本人が大丈夫と行っても、本当に怪我がないのか確認して、怪我がない場合にのみ、立ち去ってもよいのです。
一般の感覚では、納得がいかないと思いますが、法律では、ひき逃げになります。
最高裁を変える意気込みであれば、争って下さい。なければ、罰金で済むと思いますが。
弁護士の方のおっしゃっているように、相手が大丈夫と言ってさほどケガをしていないように見えても「ひき逃げ」に該当するのはちょっと納得いきませんよね
ですが、被害者本人がまだ子供で大丈夫と言っても、帰宅後ご両親などに事情を問いただされ警察へ届け出ることになるかもしれません
接触事故を起こした場合は必ず警察へ届ける、救護措置を取ることが必要なのです
今回のような場合は当事者間で和解した経緯もありますし、起訴猶予となるのではないでしょうか
誰にでも起こりうる接触事故
知識をもって、法律に沿った対処が出来るようにしておきたいですね
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